人工知能は「知能」と呼べるの?最新技術も見てみよう!
はじめに
近年,至る所で以下のワードを目にするようになりましたね.
- 人工知能
- AI
- ディープラーニング
今や家電や自動車にも搭載され始めている「人工知能」ですが,果たして本当に知能と呼べるの?
まあ僕の持論も大きく入りますので,一個人意見として読み流してくださいm(_ _)m
そもそも人工知能とは?
まずはじめに人工知能とは何か,という話をしていきます.先にWikipediaから引用したものを載せておきますね.
人工知能(英: artificial intelligence、AI)とは、計算という概念とコンピュータという道具を用いて知能を研究する計算機科学の一分野を指す語。言語の理解や推論、問題解決などの知的行動を人間に代わってコンピューターに行わせる技術、または、計算機(コンピュータ)による知的な情報処理システムの設計や実現に関する研究分野ともされる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/人工知能
Wikipediaにも書かれている通り,人工知能とは大きく分けて2つの研究目的が存在します.
工学的視点での研究
こちらの研究が今は表立ってきていますが,要するに人間の知能を模倣して役立つモノを作りましょうという視点です.
SiriやOK Googleなどの発話解析・認識インターフェイス,または自動運転技術(画像処理)などが代表的な例ですね.
理学的(医学的)視点での研究
一方でこちらは脳の働きは未だに不明な点が多いので,計算機でシミュレートして仕組みを解明したいという視点です.
現在,脳の解明は多くの国ないし研究機関で行われていますが,依然として完全に解明されていないことが多いのです.夢や感情の仕組みもその一つです.
如何せん,脳の仕組みが分かっていない以上,こちらの理学的視点での研究が大きく進まないのは仕方がないことで,今は工学的視点での研究が盛んです.
人工知能のしくみ
さて,ここからは工学的視点での話になりますが,そもそも人工知能の仕組みについて考えたことはありますか?
人工知能は,「生物の脳の神経細胞(ニューロン)を模倣したもの」です.
そもそも,神経細胞(ニューロン)というのは以下のような形をしており,複数の入力をそれぞれ調整(増強 or 減衰)させたものを足し合わせ,それがある一定値に達すると出力するということをしています.
このニューロンが何億も繋ぎ合わさりネットワーク上になったものをニューラルネットワークと言います.
そして神経細胞のそれぞれの入力調整具合(シナプス結合強度)が記憶の要素であると言われています.
人工知能の歴史を遡りはじめると,少しややこしいのですっ飛ばしますが,最初の優れた人工ニューロンモデルであり,今でもその考え方が使われている「形式ニューロンモデル」というものがあります.
その考え方はとても単純で,前述した神経細胞と同じように入力$x$にシナプス結合強度$w$をかけ合わせ和をとり,閾値$\theta$を超えたら,出力$y$を出す,というもの.
最先端の人工知能技術
さて,人工知能の仕組みはこの辺にしておき,最先端技術を見ていきましょう.最先端といっても数年前の技術もありますが,「技術の進歩すげー」ってなります.
物体認識
要は大きな画像から,物体を自動で取り出し,それが何なのかを識別する技術です.人間では当たり前な機能なのですが,計算機で実現するとなるとなかなか難しいことです.
以下の動画はFaste R-CNNという物体認識用のニューラルネットワークで判別しているリアルタイム映像です.
人や車以外にも,人が持っているハンドバッグも識別していることがわかります.自動車とトラックも識別を分けているのも驚きですし,リアルタイムでこまで高速に識別できるのもすごいです.
上の動画だと,物体はすべて四角い枠で識別していますが,しっかり物体の形まで識別することもできます.この物体の境界値を抽出する技術をセグメンテーションといいます.
以下の動画はそんなセグメンテーションも取り入れた物体認識の様子です.
医療・介護・その他
あとは全部ひとくくりにしてしまいますが,物体認識以外にも,「癌の識別に特化したもの」や「自然言語処理に特化したもの」などさまざまです.
以下の動画はあの有名なGPUメーカーNVIDIAが2018年に投稿した動画ですが,なんかいいですよね.笑
素直にかっこいいです.盛ってる盛っていないは置いておいて,こういうセンスは大切です.
やっぱりこの動画,何回みても鳥肌たちます.
お気軽に「AIすげー」を味わえる動画です.
人工知能の課題
ここまで人工知能の素晴らしい話をしてきました.最近の人工知能技術は素晴らしいですね.
ですが,もちろん人工知能には課題もたくさんあります.
ここからはそれを少し紹介していきます.
破局的忘却
人工知能には破局的忘却(英: catastrophic forgetting)という問題を抱えています.
なにやら少しかっこいい響きですが,例えば犬と猫を識別できる人工知能を作ったとして,そのあとパンダを学ばせたら,犬と猫を忘れちゃったという問題です.
人間だったらあり得ないですよね.
対策はいくつかあります,たとえば「パンダを学ぶとき一緒に犬と猫ももう一度学ぶ」とか.
...ちょっとナンセンスですね.笑
つまり,今の人工知能は最初に識別させたいものを最初に決めて一気に学ばせないといけないのです.
その他の対策研究が気になる方は以下のワードで検索してみてください.
- 疑似リハーサル
- EWC (Elastic Weight Consolidation)
Adversarial Examples
こちらは画像認識に関する問題です.以下はこの分野では有名?な画像.
左の画像も右の画像も,どこからどう見てもパンダです.
しかし,機械は左の画像は「パンダ」と識別できていますが,少しノイズを加えた右の画像は「テナガザル(gibbon)」と誤識別してしまうのです.
このノイズは意図的に作られたものではありますが,実世界では日光の反射やガラスの汚れなどノイズが多い世界ですので,このような「ノイズで誤認識してしまう人工知能」は少し怖いですね.
人工知能は「知能」と呼べるのか?
本題に戻ってきました.
ここまで人工知能の凄い部分と課題を少しだけ紹介してきましたが,果たして「知能」と呼べるのでしょうか?
僕個人的には,今の段階での人工知能は「人工知識」の方がニュアンスは近い気がします.笑
人工知能は,単に理想の出力が出るように定数(シナプス結合強度)を調整した大きな関数に過ぎません.
だから人間と比べて,ある意味「完璧」です.だって追学習しなければ忘れないわけですから.
前述したように現在,発展しているのは「工学的視点の研究」です.「人間を模倣」しているわけではないので,大きな関数で良いんです.人の役に立てていますし.
しかし,真の人工知能は「理学的視点の研究」にあると思っています.
この「理学的視点の研究」が発展しない限り,ターミネーターのような機械軍の反乱も(おそらく)起こらないでしょう.Detroit: Become Humanのコナーようなアンドロイドも難しいでしょう.
人間のように感情を持つことも,当分ないと思います.
人間の脳の仕組みがまだ解明されていない以上,「理学的視点の研究」は大きく進歩できないのです.
人工知能はずっと発展途上なのかもしれないですね.
まとめ
人工知能のことを少しまとめてみました.
僕は人工知能(知能情報学)を専門にして1年くらいですが,この1年で学んだことと感じたことをアウトプットしたまでなので,間違っている部分もあるかもしれませんがご了承ください.
もし新しく違う最新技術を載せたくなったら,追記しますのでブックマークかなにかしておいてください~.
あ,先ほど少し話に出た「Detroit: Become Human」ですが,とても面白いです.
カムスキーの「チューリングテストはアルゴリズムと計算能力の問題に過ぎない」というセリフが好きです.